人生逆転ゲーム
人生逆転ゲーム
 国籍 日本
 製作 2010
 販売 オデッサ・エンタテインメント

 特に他意はないんですけど、某映画のパッケージも並べておきますね。

カイジ

 タイトルからパッケージに至るまで見事なパク……オマージュ。ここまで来ると逆に清々しいですね。

 レンタル版を視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじからどうぞ。

【あらすじ】
多額の借金を抱えた男女8人が借金返済のために命懸けのゲームに挑戦するブレインバトルストーリー。ギャンブルとホスト通いが原因で借金まみれの本城佐紀は、命を担保にするという特別融資制度を紹介され…。主演は人気グラビアアイドル・森下悠里。

ストーリー………
キャラクター……
設定………………
サスペンス度……

総合………………B-
おすすめ度………


【良い点】
・テンポがなかなかに良い
・キャラクターが個性的
・割とハラハラするストーリー

【悪い点】
・心理戦が皆無


 カイジというよりもライアーゲームに近いノリだと思います。話のテンポも良くなかなか楽しめますが、運ゲーの連続でサスペンス性や心理戦の要素はほぼ皆無なのでご注意ください。






【以下、ネタバレ注意!】






 ライアーゲーム(無能版)



 パッケージもタイトルも見事なまでに実写版カイジの丸パクリですが、ノリ的にもゲーム内容的にもライアーゲームに近いと思います。

 では早速、詳細なレビューに入って行きましょう。まずは悪い点から。



 今作の悪い点は、ゲーム内容が運ゲーの連続で心理戦要素が皆無ということです。


 この映画はカイジのパクりだけあって、ゲームによる頭脳バトルに主眼が置かれている……はずなのですが。蓋を開けてみれば、今作に登場するゲームは全部が全部超シンプルな運ゲーばかり。①「トランプで一番大きい(小さい)数字を引いた奴が負けゲーム」や、②「水の入ったコップにコイン入れていって一番最初に溢れさせた奴が負けゲーム」、③「神経衰弱」④「投票」⑤「ロシアンルーレット」等々。

 ただし、ゲームがシンプルであること自体は悪くないのです。ライアーゲームを知っている人ならば、これらのゲームはカイジのような「参加者VS運営」というよりは、「参加者VS参加者」というライアーゲーム的構図に近く、心理戦をする余地自体は有るということに気が付くでしょう。例えば、(ルールは特殊でしたが)④、⑤などはライアーゲームでも使われた題材ですし、②や③などもかなり心理戦をする余地があります。

 今作における真の問題点は、参加者たちが無能すぎて、一部を除き全く心理戦を展開しないことなのです。①~⑤までの各ゲームは、それぞれちょっとした特殊ルールが加えられていたりするのですが、参加者たちはこれらをまるで有効活用することなくガチの運勝負をはじめ、終わってみれば「あー勝てて良かった」という小学生並の感想を漏らすだけ。

 このせいで今作、見ていても「おぉー!」と声を上げてしまうような興奮するシーンなど一切ありません。誰が勝っても「はいはい運ゲー運ゲー」という目線で見てしまい、さながら「もしライアーゲームを一般人だけ集めてやったらどうなるか」というコンセプトの映画に見えてきます。

 ただし、ゲームはシンプルで運ゲーと言いましたが、今作ではゲームが運ゲーである必要性が作中で少し語られていますので、それ自体は割とすんなり受け入れられるでしょう。



 悪い点は以上でした。以下には良い点を。今作の良い点は、ストーリー展開が割とハラハラすること、話のテンポがなかなか良いこと、キャラクターが個性的であること、の三点です。


 まずストーリー展開について。先ほど興奮するような展開は一切ないと言い切ったばかりですが、今作のストーリーにはそこそこハラハラする部分はあります。それは登場人物たちが無能すぎてガチの運勝負しかしないので、誰が負けるか全く読めないからなのです。

 心理戦を主眼に持ち込むというということは、裏を返せば主人公サイドでない敵の敗北はほぼ確定しているということ。しかし、今作は頭の切れる敵キャラなど一人もいないので、ガチで(主人公以外は)誰が退場するか全く読めないというところが逆にハラハラ感を煽ってくるのです。恐らく、狙ってこうしたのではないと思いますが、これは不幸中の幸いでした。


 またストーリーのテンポが良いということも、このハラハラ感の演出に貢献しています。今作は心理戦を排除したことによって、ゲームの長ったらしい説明やゲーム一つ一つの描写を丁寧にする必要がなく、また登場人物の背景描写も話の合間合間にかなりあっさりと終わらせているため、ポンポンと話が進んでゆきます

 このおかげで、今作は90分程度の中に無理なく5つもゲームを収めることができており、話がダレるということもありませんでした。また作品全体が軽快なBGMとブラックなユーモアに支えられているため、臓器を賭けるという重いテーマながらかなりあっさりとした気分で見ることが出来ます。


 そして、キャラクターについて。今作はゲームの都合上、主要キャラクターは8人とそこそこな人数がいますが、一人一人の背景を(かなりあっさり目にでも)紹介してくれる上、性格もバラけていてなかなか個性的だったというのは一つの評価点でした。

 やはりこういったゲームを題材とした作品は、キャラクター性がかなり重要だと思うので、この点は素直に褒められる部分だと思います。これと、先ほど言った誰が死ぬか分からないという部分も相まって、飽きずに完走できました。


 ただし、ヒロインがガチの無能だったということと、話全体がかなりヒロインに都合よく流れていたという ことだけは納得がいきませんでした。またこの映画のラストシーンについても、割と納得行っていません。

 この映画のラストは、「ギャンブル中毒のヒロインがこの命を懸けたゲームにハマってしまい、2度目の参加をする」という解釈で良いと思うのですが、そもそもヒロインはこのゲームを何一つ自分の力で切り抜けてはおらず、最後のロシアンルーレットだって相手に負けてもらったからこそ生き残れたのです。

 そうであるのに「じゃあ2度目」というのは割と強引ではないかと思いました。そういう展開は、せめてカイジ並みの頭脳と逆転力を備えてからにしてください。まあ、「結局屑は直らない」という話にしたかったのだと思いますが、それにしても「なんだかなぁ」という感じでした。

 それと、それまで生きたまま臓器を取り出すことに拘っていたのに、最後だけガチ射殺というのは意味不明すぎて唖然としました。それまでの設定はどこに行ったのか。



 総評ですが、先に言ったように「ライアーゲームに一般人しかいなかったらこうなるんだろうな」というような内容の映画です。テンポは良いので飽きずには見られますが、心理戦要素などは本当に皆無なので、それを期待して見るとえらいことになります。

 ただし、これはこれでなかなかありだったので、レンタルショップで見かけたら借りてみても良いのでは、というくらいの出来の映画だったと思います。ちょこちょことした不満点はありますが、なかなかに面白い映画でした。