タルボサウルス 激突! 史上最大の恐竜
タルボ
国籍 韓国
製作 2010
販売 竹書房

 今作の舞台は8000万年前、恐竜たちが闊歩していた時代のアジアであるため、人間は一人も出てきません。恐竜たちが主役のドキュメンタリー風映画です。NHKなんかのドキュメンタリー番組を想像してもらえると分かりやすいかもしれません。

 そんなわけで、これをB級映画というくくりに入れて良いものなのかどうか悩みはしましたが、まあ折角見たのでレビューします。「モンスターカテゴリー」に入れるのも忍びないので、便宜上「その他」と言うことで。

 レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじからどうぞ。

【あらすじ】
今から8千万年前、地殻変動で火山活動が活発化し、恐竜絶滅へのカウントダウンが始まった時代が舞台。ティラノサウルスと並ぶ世界最大の肉食恐竜タルボサウルスの赤ん坊パッチは2人の兄弟と共に、森を支配する母親の元でのびのびと暮らしていた。凶暴なヴェロキラプトルの群れに襲われても、体長13メートル、体重7トンの母親が守ってくれる。しかしある日、飢えたタルボサウルスのオスに森から追い立てられたパッチたち兄弟は、母親と共に生まれて初めての試練の旅に出ることになる。餌のプロトケラトプスやチンタオサウルスを求めて、荒れ果てた大地をどこまでも移動する。ヴェロキラプトルの襲撃などを受け、結局肥沃な大地にたどり着けたときには、2人の兄弟を失いパッチ一人きりに……。そして5年後、彼は体長5メートルの立派なタルボサウルスへと成長していた。いよいよ大地の王者としてひとり立ちしたパッチ。しかし、覇者の地位を築くためには、まだまだ激しい戦いとさらに厳しい試練が待ち構えていた!

ストーリー……C
恐竜の質………B
設定……………―

総合……………C
おすすめ度……C


【良い点】
・恐竜のCGの質が高い

【悪い点】
・展開がどっちつかずで盛り上がりに欠ける

 ドキュメンタリー風のフルCG映画なのである程度盛り上がりに欠けるのは仕方ないと思うのですが、特に恐竜のCGも見慣れた後半はだんだんと飽きてきてしまいます。しかし、恐竜のCGの出来はなかなか良く、ストーリーの構成も単純で分かりやすいので、(煽り抜きに)恐竜好きのお子様ならなかなか楽しめるやもしれません。ちなみに、私は前半はまあまあ楽しめました。






【以下、ネタバレ注意!】






 テリジノサウルス……あ、頭が……!(ディノクライシス並のトラウマ)
 テリジノ出現の途端に、私としてはタルボサウルスどころの騒ぎではありませんでした(トラウマ)


 さて今作は、真面目に8000万年くらい前の恐竜時代のアジアを舞台にした作品です。そのため、人間など一切登場しません。セリフも恐竜の鳴き声以外は、ナレーションの声しかありません。というわけで、今作は映画というよりは、NHKなんかのドキュメンタリー番組を想像していただく方が分かりやすいです。

 また、私は「ジュラシックパークほんと好き」という程度にしか恐竜に関する知識がないので、はっきり言って作中に述べられていたような恐竜に関する設定が正しいのかどうかなど微塵も分かりません。そこで今回は、設定に関しては触れない方針を貫きたいと思います。あくまでレビューは、ストーリー構成や映像の出来に関する部分だけと言うことで。そのことを踏まえた上で、以下のレビューをどうぞ。



 ではまずは、今作の良い点からいきましょう。この映画の良い点は、恐竜のCGの出来がなかなか良いということです。


 フルCG映画にとって、ストーリー構成や展開のさせ方と同じくらい、いやひょっとするとそれ以上に、CGの出来が重要なのは言うまでもありません。そしてその点に関して言えば、この映画の良し悪しを判断するには最初の数分あれば充分であるとも言えます。なんせ、その最初の数分見た映像のクオリティと、向こう90分間付き合うこととなるわけですから。

 そのことをわきまえた上で言うのですが、今作のCGのクオリティはなかなかのものです。動作こそ多少カクついて気になる部分もありますが、恐竜の肌の質感や大まかな動きなどはなかなかの水準で、(超予算の名作恐竜映画と比べるわけでもないのなら)基本的には良く出来ていたと思います。



 では、以下には悪い点を。今作の悪い点は、展開が単調で盛り上がりに欠け、退屈してしまうということです。

 まあ本来、ドキュメンタリー映画に関して展開のことであれこれ文句を言うのは筋違いかもしれませんが、あくまでも今作はドキュメンタリー映画なので、あれこれ言わせていただきます。

 まず今作の大まかな流れとしては、主人公であるタルボサウルス(パッチくん)の幼少期を前半に描き、後半は彼が独り立ちした後のことを、当時の環境や他の恐竜たちの生活、特徴の解説も織り交ぜながら追ってゆく、という感じになっています。まあドキュメンタリー風の映画なので、このあたりの流れは非常に分かりやすいのですが……。

 問題なのは、話の構成が非常に単調で抑揚がなく、盛り上がりに欠けるということ。「ドキュメンタリーに盛り上がりって」と思われるかもしれませんが、これが結構問題なんです。

 この場合の盛り上がりと言うのは、なにも「もっと盛り上がるような展開の話を書けよ」という意味ではありません。確かに今作、兄弟が死んだり子供が死んだり妻に見捨てられたり、最後はラプトル先輩にもぐもぐされたりと割と救いようのない展開が続いてテンションが下がりますが、それはそれで良いと思うのです。風とは言ってもドキュメンタリーですし、自然の厳しさをテーマにしている(であろう)部分も見受けられますので。

 では何がいけないのかというと、ドラマ部分とドキュメンタリー部分の配分が実に中途半端で、お互いがお互いの邪魔をし合っているためどちらをとっても楽しめないのです。自然の厳しさや、恐竜たちを取り巻く環境を描くドキュメンタリー部分、そしてパッチという恐竜の生を描くドラマ部分、このそれぞれの出来はそこそこなのですが、もうミックスのさせ方が実に残念

 パッチくんが人生の節目節目で経験するいろいろな体験や困難、彼はそれをどう受け止め、成長してゆくのか――それを楽しんでいたはずが、突然そんな展開はバッサリと切り捨てられ、タルボサウルスと同年代に生きていただけの脇役恐竜の解説や特性が突然始まってみたり、逆に「へぇー」と思うような解説が始まったかと思えば、それはすぐに終わって話がパッチに戻ってみたり……などなど、今作(特に後半)は面白くなりそうな場面に入る前にスパスパと展開が切り替わってしまうため、ナレーターの解説だけが淡々と行われているというような印象を受けてしまうのです。



 総評ですが、CGやグラフィックの出来はなかなかの水準で纏まっていますが、話が淡々としすぎていて(お子様ならまだしも)大人には少しキツイものがありました。いっそドキュメンタリー風に行くのなら、もう主人公やドラマ性はガン無視して恐竜の特性やその生活を余計な話抜きに紹介してゆく形式にした方が面白かっただろうと思いますし、ドラマ性を重視するのならタルボサウルス以外の余計な恐竜に焦点を当てている場合ではなかったでしょう。

 どちらかに寄って作られていればより楽しめたのでは、と思ってしまうので、なんとも惜しい映画でした。しかし本当にCGの出来はそこそこ良いので、特に小学校低学年以下の心が綺麗なお子様と一緒に見れば楽しめるかもしれません。