ヴァンパイアナイト


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【予告編】


【あらすじ】
泉質が万病に効くと言われる山奥の温泉旅館「三春屋」。
占い師に導かれ、警察官、雪村早紀(柳ゆり菜)とその妹で心に傷を負ったアーチェリーオリンピック候補選手の美和(上野優華)が保養に訪れる。
更にその宿には介護疲れの会社員、神楽坂浩仁(前野朋哉)と、
認知症を患った母、典子(山村美智)、そして謎の客、桜井裕吾(勇翔)がいた。
その夜、酔った桜井が突然発砲した銃によって憩いの時は崩壊した。その弾丸は仲居に当たり、
脳を撒き散らして死んだが、死んだ仲居の正体は吸血鬼だった。
目の前の状況に呆然とする雪村姉妹に神楽坂親子。
その宿「三春屋」はかつて中世ヨーロッパから脈々と繁栄を続け、
いつしか日本に上陸した吸血鬼の巣窟であり、謎の客"桜井 "はヴァンパイアハンターだったのだ。

ストーリー……B
キャラクター…B
戦闘の質………C
設定……………C

総合評価………B−
オススメ度……B

【良い点】
・中盤以降のテンポが良い
・敵味方共にキャラの出来が良い

【悪い点】
・多少盛り上がりに欠ける


パッケージのインパクトがなかなかすごかったので思わず借りて見ましたが、意外にも結構面白くて、集まったみんなで楽しく見られました。内容的にはそこそこですが、キャラクターの出来栄えが良かったのが大きかったと思います。







【以下、ネタバレ注意!】







さて今作ですが、ヴァンパイアハンターを名乗るショットガン使いの兄ちゃんと、トリガーハッピーな警察の姉ちゃん、アーチャーの妹に、認知症のババアという偏りまくったパーティーを組んでヴァンパイアどもを殲滅するという内容の映画になっております。そのパッケージから漂うアレ臭(トリガーに指かけてないのに発砲、クッソてきとーなフォント)から、「これヤバそうやな」と思いながらも友人数名と見たのですが、これがまた意外にも盛り上がりました。面白かったです。

では早速、今作の良い点から見て行きましょう。今作の良い点は、中盤以降は話のテンポが良くなってくることと、キャラに魅力があることです。


 この映画はまず、幼少期に心の傷を負った姉妹が、怪しい占い師のババアの甘言に引っかかり、見知らぬ温泉地へと誘われるところから話がスタートします。その温泉地こそが、現代に細々と生きるヴァンパイアたちの住処であり、誘われた人々はそこで恐ろしい体験をする……ってな感じの内容なんですが、この温泉地到着後、ヴァンパイアの襲撃スタートからの話のテンポの良さはなかなかのものでした。

 雑なCGで迫り来るヴァンパイアどもを銃器を使って迎え撃ち、敵のボスへ向けて進軍と戦闘を繰り返し、そのまま敵ボスとの対峙、しかし相手が強すぎるというお約束のピンチを挟みつつも、それまで存在意義が謎だったババアの覚醒で盛り上がりを作り、最後は敵ボスその2との決戦で締め。今作の中盤以降はだいたいこんな感じの構成になっているのですが、良くも悪くもこの王道的な展開から外れることなく、ダラダラした描写などを省いてテンポよく全体をまとめる事に成功していました。そのおかげで、盛り上がりも安定感もありながら、飽きる事なく、しかも(本編時間が短いこともあって)サクッと気軽に見られる。これが今作の良い部分その1だと思いました。


 そしてそれ以上に、今作は登場するキャラクターたちの濃さが凄いこと、これが何よりも良かったと思います。今作のメインを張るのは、自称ヴァンパイアハンターのショットガン使いの兄ちゃん、銃器恐怖症の警察の姉ちゃん、アーチェリー実力者の妹ちゃん、そして認知症で使い物にならないババアの4名なのですが、こいつらいずれもがキャラが濃い。まあ、アーチャーの妹だけは多少影が薄いんですが、そのほか3人はもう存在感バッチリでした。

 銃が怖くて使えなかったはずの姉ちゃんは、ヴァンパイア戦を経て完全なるトリガーハッピーへと変貌を期し、笑顔で銃乱射するようになりますし、最初は雰囲気も言動もクッソヤバそうだった自称ヴァンパイアハンターの兄ちゃんは、実はパーティーメンバーの中で1番言動がマトモなのでそのギャップに見直しちゃいますし、極め付けは認知症ババアが実は伝説のヴァンパイアハンターだったことが発覚し、覚醒直後にボス敵を圧倒的パワーでねじ伏せてドヤ顔決めるところなんかは興奮必至だったりで……とにかく良かったです(小並感)

 また、味方だけでなく敵のキャラが濃いことも話の面白さに拍車をかけてます。ヴァンパイア側の幹部は、自由気ままに育ちすぎた息子に手を焼くオッさんに、次期王の座が決定している若い王子がメインなんですが、この2人の掛け合いとか言動が面白いんです。

 オッさんはオッさんで、なんか苦労人っぽい風貌と言動で同情引いてきつつも、戦闘面ではクッソ強くてビビりますし、息子は息子で部下の報告に対して「マジで?ヤベーじゃん」(原文ママ)とか言っちゃうくらいノリがクッソ軽く、温泉地に人間呼び込んで全員殺すとかいうえげつない作戦を敢行している側の悪役の癖にどことなく憎めないオーラが出てて、なんか好きでした。

 まあ、味方も味方なら敵もこんな感じの人たちなので、終始ゆるいノリで進行していくのがこの映画の持ち味になってたと思います。かと思えば認知症ババアの覚醒など、ゆるさの中にも見所さんとなるシーンがちゃんとあって、全体的にメリハリが効いてて良かったと思いました。題材に反してシリアスさはほぼ無い分、笑いながらサクッと見られるのは明確な良い点だったのではないでしょうか。



 と言うわけで、しっかりとした良い点がある今作ですが、反面、ラストの盛り上がり不足感は否めず、それがほぼ唯一の不満点ではありました。

 今作のラストシーンは、敵ボスの息子とヴァンパイアハンターが一騎打ちで戦い、ヴァンパイアハンターくんが劣勢に陥るも、そこにトリガーハッピーとアーチャーが加勢して3人で力を合わせて倒す、というなんとも王道的な展開。なのですが、ぶっちゃけそのラストバトル前の認知症ババア覚醒シーンがあまりにも盛り上がりすぎたことや、敵ボスの息子がかなりあっさりやられてしまったことなど不幸が重なり、ラストがどうにも締まりが悪く、あんましパッとしないのです。なんで、なんとも消化試合感というか、ラストバトルにしてはイマイチ盛り上がらない感じが出てしまったわけです。ババア覚醒シーンの印象が強すぎたんや。



というわけで総評ですが、ラストの盛り上がり不足は感じたものの、それ以外はかなり良くまとまっていた良作だったと思います。何より主要キャラがみんな個性的だったのと、テンポも悪くないのでダレずに見られたこと、これが良かったと思います。

 ヴァンパイアに関する設定は投げっぱなしだし、こんな村で十数人も旅行者一気に消えたら絶対見つかるやろとか言いたくなるし、と設定面はなかなかガバいですが、ノリと勢いと濃いキャラでそれを見事に誤魔化した怪作だったと思います。個人的にはオススメなのでよかったらどうぞ!