高速ばぁば
高速ばぁば

 高速で移動したりしなかったりしろ(御都合主義BBA)
 今回レビューするのはこちらの映画。では、まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】


【あらすじ】
気をつけろ・・・「高速ばぁば」がそこまで来てる! 

テレビ番組のレポーターとして廃墟の老人ホームを訪れたアイドル三人組・ジャージガール。彼女たちがそこで目 にしたのはすさまじい速さで移動する老婆の姿だった。この日から彼女たちの周りでは次々と異変が起こり始める。 ビデオ画像に映った謎の人影、顔にできたちょっとした傷が治らずグループから脱退するアヤネ、さらにはマネー ジャー、ディレクターなど彼女たちの周りのスタッフにも被害が…。これは「高速ばぁば」の呪いなのか?

ストーリー……C
キャラクター…C
設定……………D

総合……………Cー
オススメ度……D

【良い点】
・テンポ自体は悪くない

【悪い点】
・ホラー演出が下手
・全体的にシーン転換が高速すぎてついていくのが大変
・設定ガバガバ

 まれに高速移動するババアが、売れないアイドル相手に勝手に呪い振りまいてイキり暴れまわるという内容のホラーです。話のテンポ自体は悪くないので見てはいられるのですが、シナリオがガバガバな上、ホラー演出がおかしいせいで全く怖くないというのがとにかく痛い作品でした。決してつまらなくはないのですが、面白くはない、という評価に落ち着きました。





【以下、ネタバレ注意!】





 今作ですが、ジャージガールとかいう、いかにも売れないアイドルグループが、心霊番組のロケで廃墟に行かされてそこで高速移動するババアに取り憑かれる、という物語です。おそらく元ネタは、高速道路上の車に併走してドライバーを驚かせるという「ターボばばあ」。日本で最近メジャーな、ネット発都市伝説の実写映画ですね。しかし、変なオリジナル要素を重視しすぎて肝心の高速要素が息をしていない、という本末転倒っぷり。詳細は下記にて。


 では早速、今作の詳細な内容を見て行きましょう。まずは良い点から。今作の良い点は、話のテンポ自体は悪くないということです。

 紹介した通り、今作のあらすじは売れないアイドルが廃墟探索→最奥で高速移動するババアと遭遇→呪われる、という感じなのですが、ここまでの流れについては特に無駄らしい無駄もなく、わりとスッと本題に入ってくれた印象。またその後も、呪いが始まってから日常が異常に侵食されていく様子を、テンポ自体は悪くなく描写してくれていました。まあ、本編自体が他映画と比べて短め、というせいでもあるとは思いますが、テンポ的に見られたものではない、という具合にはなっていなかったのは救いだった。

 また、単に正体不明のババアに追いかけられて呪われて終わり、というだけではなく、重要な舞台となる廃墟の過去を軸としたストーリー展開にもそれなりに力が入っていたことも好印象。呪いの条件とかババアの正体とか、投げっぱなしな部分もとにかく多いですが、それでもストーリーに一工夫持ってきてくれたのは良かったと思います。以上です。

 
 では、続いては悪い点を。今作の悪い点は、ホラー演出が下手なこと、全体的にシーンの転換が早すぎてついていくのが大変なこと、そして、設定がガッバガバなことです。

 まずはホラー演出、というより、今作全体の演出の仕方について。はっきり言って、この映画のホラー演出はお粗末の一言。いえ、おどろおどろしい雰囲気自体は割と出ているんですよ。謎の施設に、謎のババア。そして、そいつと出会ったことをきっかけに、日常が非日常に侵食されていく恐怖……。まあ、怖いかどうかは別として、こういった雰囲気作りには割と成功していたと思います。問題なのは、ホラー映画のくせしてギャグ映画みたいなシーン転換がどんどこどんどこブッこまれてくることだよ!

 例えば、何か怪異が起きたとします。施設の最奥で謎のババアに会って追いかけられたり、恐ろしい体験をした仲間が口から白髪を吐き出してしまったり、明らかに呪われて様子がおかしいプロデューサーが目の前で腕を掻きむしって血だらけになっていたり……そんな、超特大の異常事態が起きているというのに登場人物たちの心にはなぜかそれが全然響いてこないんです。

 「なんかやばい体験をした!」→「まあ、それはさておき……」みたいなシーン転換がとにかく多い。というか、今作でホラーな出来事が起きると、ほぼ十中八九このパターンになると言っても過言ではないほどの確率で、次のシーンでは何事もなかったかのように処理されるんです。目の前で突然知人の足がグチャグチャに折り曲げられるというクッソショッキングな光景を見たのに、次の瞬間にはダンスレッスンしてるような映画ですからね。なんでホラーな演出を挟むたびに毎回ブツブツブツブツと流れをぶった斬る必要があるんですか?

 また、設定ガバによりシナリオが崩壊しているのも問題点。この映画のメインであるババアは、過去に虐待等が日常化していた違法老人ホームの廃墟に巣食う怨霊的な存在がだったことが明らかになり、施設の最奥にある部屋のベッドに施された封印を解くと解放される、という設定だったらしいのですが、この解放が行われるのがこの映画の終盤も終盤なんですよ。この封印を解かれたことにより、ベッドに横たわっていた人形がババアへと姿を変えて襲ってくるのですが、そもそもこのババアは封印解かれるずっと前から登場して元気に施設内外を走り回っており、呪いを振りまいて精力的な活動を見せているのです。つまり、通常であれば「ババア解放→登場→襲撃」というプロセスを踏むべきところ、この映画においては「ババア登場→襲撃→解放」というまるで意味の分からない流れになっているのです。何なんですか、修理工事完了後に決裁用の見積書もらう的なそういうあれですか。



 というわけで総評ですが、話のテンポはよくとも、ホラー演出がとにかく残念。その一言に尽きる映画です。ふざけたタイトルとは裏腹にホラー要素はそこそこ盛られていましたが、盛り付けがとにかく下手。しかも、ババアが高速移動することを売りにしていながら、ババアのダッシュはせいぜい成人女性のダッシュに匹敵する程度で、その名に反して呪い特化型の性能という食い違いが発生していることも大減点ポイント。高速が売りのはずなのによく分からんオリジナル要素足しまくった結果、高速要素が息してないんじゃ本末転倒なんだよなぁ……。

 こんな感じの今作ですが、一応ババアが高速移動する瞬間もあるにはあるので、気になった人は見てみてもいいかも……しれません。