ムラサキカガミ
ムラサキカガミ

 
 (元ネタ要素はタイトルくらいしか)ないです

 ネトフリで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ

【予告編】


【あらすじ】
今から10年ほど前。ふたりの女子高生がある噂が本当かどうか確かめるため、学校の鏡の前に立った。
それは”夜の11時35分、大鏡の前で”紫の鏡”と5回唱えると、焼きただれた少女が現れる”というもの。
冗談半分に試した彼女たちのうちひとりは顔の皮をはがされ、もうひとりは気がふれてしまった・・・。
強化合宿を目前に控えたテニス部員たちは、顧問の佐々木先生(長澤奈央)から聞かされたそんな噂に怯える。
作り話だと笑う先生に安堵の表情を浮かべる部員たちだったが、ただ一人、1年生の美奈子(紗綾)だけは何故か胸騒ぎを覚える。
母親を早くに亡くし、父親も仕事で不在がちのため、ひとりの生活に慣れている美奈子は人一倍感性が鋭い。
しかも1年生部員の宿泊先は大鏡のある旧校舎に決まり、嫌な予感が募っていく。

ストーリー……C
キャラクター…C
ホラー度………C
設定……………C

総合……………C
おすすめ度……C


【良い点】
・ラストの展開の力の入れ具合

【悪い点】
・設定上ツッコミどころ多め
・ラスト突入まではとにかく平凡

 終盤に入るまでは、B級和ホラーにありがちな「悪くはないんだけど良くはない」のお手本を行くような作品だと思いましたが、ラストシーンで評価が変化。ラストの力の入れようと頑張りは素直に良いと思います。






【以下、ネタバレ注意!】







 邦画ホラーお得意、都市伝説勝手に映画化シリーズ。いつもは口裂け女やらテケテケやら花子さんやらが多い中、今回の題材は都市伝説の中でもかなりマイナーな部類に入ると思われる「紫鏡」。というか、この映画見るまでその存在忘れてましたがな。

 まずは前置きとして、怪談紫鏡の概要を。まあものすごいざっくりと説明すると、「20歳までに『紫の鏡』という言葉を覚えていると不幸になる」というだけの、怪談の中ではなんとも非常に薄味あっさり目ストレート勝負なお話が元ネタとなっております。そのあまりにざっくりとした概要故か、元ネタ自体にも結構バリエーションがあるみたいなのですが、この怪談の1番重要な部分は「特定の言葉を覚えていてはいけない」ということです。「覚えていてはいけない」と忠告されると逆に忘れられなくなる、なんとも人間心理をうまく突いた怪談だなぁ、と若干の関心を覚えるわけですが、この映画に限って言えば名前以外完全に元ネタガン無視という始末。詳しくは以下にて。


 では早速、今作の残念な点から行きましょう。今作の悪い点は、ラスト突入まではとにかく平凡ということと、設定上突っ込みたいところがいっぱいあるということです。


 まずこの映画、開始から終盤に至るまで、B級和ホラーにありがちな「まあ悪くはないけど、これといって言うこともない」みたいな無難かつ平凡な展開が続きます。そもそも露骨な心霊描写がラストシーン突入までなく、そこまでに起きる一番の事件が友人の失踪にとどまるため、ホラーとしては継戦能力が低く退屈気味な展開。友人の失踪に至るまでの流れでも霊に攫われた等の描写もなく、霊の登場は本当にラストシーンまでお預けとなります。

 その他、テニス部員に一斉に気味の悪い写メが送られてきたりだとか、校舎の入り口に猫の死体があったりだとか、校舎お泊まり合宿中に噂の紫鏡前まで肝試しをしに行ったりだとか、イベントごと自体はあるっちゃあるんですが、ぶっちゃけどれもこれもホラーとしては実にパンチ力不足でした。まあ、良く言えば終始安定しているとも言えますが、終始見どころや盛り上がりに欠けると言ってしまえばそこまででしょう。

 また、設定上突っ込みどころが多いのも引っかかるポイント。今作は、テニス部が学校に泊まり込みの合宿を行っている最中に起きる出来事を題材としているんですが、設定全般に関してはかなり迷走気味「これいる?」な部分が多かったように思います。それがもっとも顕著だったのが、「合宿中、上級生は新校舎で、下級生は旧校舎でそれぞれ寝泊まりする」というスーパー意味分からん設定。いや、旧校舎を舞台にしたかったのは分かるんですが、同じ部の合宿で部屋も死ぬほど余ってるのに、わざわざ寝泊まりする校舎分けるという不自然極まりない謎設定。こういう本筋にどうでもいいところが一旦気になってしまうと、以降話が入ってこなくなるので止めてほしんだよなぁ……

 また、ホラーの醍醐味の1つとして、「現在起きている心霊事象の正体について、キャラクターが探索を行うことによってだんだん真相に近づいていく」というのがあると思うのですが、今作ではムラサキカガミに関する説明を最序盤にまとめて一気に噂話として処理してしまうせいで、旧校舎探索にかかる見せ場がない、というのも首を傾げたポイント。まあ、説明放棄設定丸投げの映画も多いB級和ホラー界隈において、しっかり説明をしてくれること自体はありがたいのですが、これを見せ場に昇華できればもっと良かったのに、と思ってしまいます。

 ですがそれらの問題点すら可愛く思える今作1番の問題は他のところにありました。それは、今作が紫の鏡という「特定ワードを一定期日まで覚えていると不幸に見舞われる」という元ネタの設定を完全に無視し、「旧校舎の鏡の前で呪文を唱えると殺される」という、なんかもう完全に別物の話に改変してしまった、ということなのです。元ネタが「覚えていてはいけないと言われれば言われるほど忘れられない」という、何とも上手くできた話であるだけに、その設定を一切活かさず、一切使わず、ただ単に「紫鏡」というタイトルだけを残して内容を一新し、勝手にオリジナルストーリー仕立てに仕上げてしまったのはあまりにも迷采配だと言わざるをえない。


 とまあ、ここまでは結構ボロクソ気味でしたが、そんな残念な評価をひっくり返すーーとまでは行かなかったものの、充分汚名挽回クラスの働きを見せた良い点も。それは、ラストシーンの力の入れ具合です。

 結局最後の最後まで幽霊不在のまま迎える終盤、旧校舎の鏡の前で件の呪文を唱える一行の前に現れたのは、構って厨の糞ウザ幽霊。しかし、「あー、やっと登場か、こっから適当に叫ぶシーンとか音でドッキリさせるだけのシーンとかで誤魔化して終わりか」と思っていた私の目に飛び込んできたのは、この手の映画としては珍しい結構ガチ目なゴア描写でした。てっきり念力系の残念幽霊かと思いきや、やることは以外と物理派で、首を切り落としたり死体をバラバラに引き裂いてその辺に転がしたりなんかのスプラッターちっくな表現は、事後描写が多いものの意外と力を入れてやってくれている印象を受けます。

 またそれだけにとどまらず、生徒のことを心配して様子を見に来てくれた先生を、怯えた生徒が霊だと思い込んで刺殺してしまう、という変化球も投げてくる余裕もかます今作。ぶっちゃけ、ラストシーン入るまでの展開であんまり期待を持てなかったので、この「意外とスプラッターに力を入れている」「単に霊が殺して回るだけでなく同士討という変化球も混ぜてくる」という「意外と」な部分に惹かれました。また、そこから展開される本当のラスト、主人公が霊の「遊ぼう」という問いかけに「遊ぶ」と返すと、一旦その場は見逃してくれたものの、その後永遠に鏡の中に囚われて一緒に遊び続ける羽目になってしまう、というオチも着地点としてはなかなか良かったんじゃないかと思います。総じて、ラストシーン突入後の満足度は高かったですね。


 総評ですが、まあラストシーン突入までは良くある冴えないB級ジャパニーズホラーラストシーン以降の展開で巻き返し成功、という感じの映画だったかと思います。個人的には、最後が意外と良かったので全体的な満足度は高めでしたが、なんせその評価も「意外と」に支えられている部分が結構大きいため、期待して見ると期待外れに思うかもしれません。ご利用は計画的に。

 それでは、今回はこの辺で!