ディープサンクタム
ディープサンクタム

 シチュエーション想像するとアーイキソ
 さて今作ですが、字幕でネトフリで見ました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】


【あらすじ】
スペインのフォルメンテーラ島にやってきた男女5人の若者たち。大自然の中、酒を飲み、ハメを外しながらバカンスを満喫していた。あくる朝、海沿いにある洞窟を発見した5人。まるで何かに導かれるかのように探求心を刺激された一行は、ライトの明かりだけを頼りに真っ暗闇の狭い隙間を這いながら、奥へ奥へと突き進んで行った。しばらくすると、怖がりのベゴが、「もう帰ろう」と言い出した。二日酔いで体調が良くないのも影響しているようだった。そうこうするうちに洞窟の奥深くまでたどり着いた一行は、来た道を戻ることに。しかし、唯一の目印にしていた柱の分かれ道で、地獄の運命が訪れてしまう…。

ストーリー……B
キャラクター…C
設定……………B

総合……………Bー
オススメ度……C

【良い点】
・前半の流れはほぼ完璧
・洞窟内という圧迫感溢れるシチュが最高

【悪い点】
・後半で完全にやらかした

 個人的評価では、前半◎、後半△な映画です。陽キャたちが洞窟内で遭難するまでの流れはほぼ満点に近く、そのままの空気&後半にもっとひねった展開があればB評価は固かったし、場合によってはB+も十分あり得た作品だったと思います。しかし、作品全体として「洞窟内という圧迫感あるシチュが自分に刺さるかどうか」に評価が大きくかかっているので、そもそもそれがたいして刺さらなければ低評価になる可能性は十分ありますね。





【以下、ネタバレ注意!】






 閉所に閉じ込められるの怖い……怖くない……?

 さて今作ですが、陽キャDQNが意気揚々と孤島の洞窟探検に乗り出したところ案の定遭難し、内部で完全に迷って出られなくなる、というお話です。ちなみにですがPOVなので画面酔い注意。

 ではあらすじも早々に、早速本作の詳細な内容を見ていきましょう。まずは良い点から。


 今作の良い点は、前半の完璧すぎる展開と、洞窟内での遭難という圧迫感溢れるシチュエーションです。


 ではまずは前半の展開について、順を追ってお話します。この映画はまず、いかにも頭悪そうな陽キャでパリピなDQNたちが、孤島にキャンプへとやってきて、泳いだりセックスしたりマリファナやったりのドンチャン騒ぎを展開するところから幕を開けます。その間、男の尻穴撮影映像見せられたりと実に汚い部分もありましたが、基本的にまずここの導入シーンのクオリティが高い。何がいいって、よくある若者が標的になる系の映画とかでありがちな「とっとと本筋入ればいいのに、前半30分くらい使ってとにかく無駄な話をダラダラと続ける」という典型的失敗を犯していないことなのです。

 今作の本格的スタートを、洞窟を発見して内部探検に乗り出してから、と定義するならば、そこに至るまでの導入部分に使った時間は、なんとたったの15分。この15分間、登場人物たちがアホ丸出しで騒ぎまくる映像を描写することによって、簡単な登場人物の紹介と、洞窟内で超絶何かしらやらかしそうなキャラ設定描写をさらっと短めシンプルに、しかしその印象を強く刷り込むことに成功しています。この手の映画に対して、とにかくテンポを重視する私にとっては、この短くシンプル、かつ的確なキャラ描写を導入として持ってきてくれたことは非常に嬉しく思いました。登場人物が馬鹿騒ぎする描写は、短すぎるとその後にやらかした時の展開が薄っぺらくなるし、長すぎるとテンポが死ぬので実に難しいところだと思いますが、その意味では今作の配分は実に絶妙です。

 さて、そんなテンションアゲアゲな導入から、洞窟を発見し中に足を踏み入れた一行。しかし、帰り道のことなんて考えずにとにかく先に進みまくり、帰りも分岐路をクソ適当に進んでいくせいで完全に迷う、という実に導入場面のキャラ説明にふさわしい、期待通りの行動をとって道に迷ってくれる一行。道もどんどん狭くなり、ついには屈んで行動しなければならないほどにもなります。この、「狭い洞窟内で迷う」というシチュエーションが刺さるかどうか、これに今作の評価のほぼ全てがかかっていると言っても過言ではないわけですが、個人的にはこのシチュ、かなり来ました。

 もうここからは半分自分語りみたいになってしまうのですが、私は狭い場所で身動きが取れなくなる的な設定がもう超絶苦手&リアルに鍾乳洞とか行っても「崩れてきたらどうしよう」とか「地震起きて出入り口塞がれたら…」とかそんなことばっかり考えてしまうタイプの人間なので、この映画の設定は実に苦手で非常に刺さりました。映画がハンドカメラによるPOVだったということも相まって、もう臨場感緊迫感はMAX。狭いところに体がつかえて動けなくなるシーンや、洞窟内で見つけた海に闇雲に潜るも、波と暗闇に襲われるシーンの恐怖感も実に良かったです。個人的には、シチュエーションに支えられる前半の展開は、ほぼ満点だったと言ってよいでしょう。

 またご存知の通り、この映画は「見知らぬ洞窟内で迷って出られなくなったら?」というシチュエーションを描いたスリラー映画です。内容的にはこれ一本勝負で、洞窟内にクマがいたりとかモンスターがいたりとか、まさかの地底人がいたりして襲われたりとかのパニック要素はありません。しかしだからこそ、そういう余分な要素がないからこそ、今作は狭い洞窟内という空間が持つ恐ろしさを存分に堪能できるのです。


 とまあ、ここまでベタ褒めなわけですが、当然悪い部分はあります。それは、後半の展開です。

 
 前半の流れは完璧だと言いましたが、だいたいこの手の映画って、前半の流れ自体は似たような感じになると思うんですよ。洞窟入るまでのくだりがあって、洞窟内に入って迷い、簡単に探索してみるも出口が見つからず意気消沈。ここまでがだいたい前半で、簡単な探索もし終えた展開を受けての後半、ここからの展開をどう持っていくかが、各映画の個性の出しどころだと思うんですが、この映画に関しては、それ以降の展開は実に微妙の一言でした。

 前半部分はもう臨場感MAXでのめり込むように見てたんですが、この映画が後半に入って発揮する個性は、「生き残るために、誰か1人を殺して肉を食べるしかない」という展開へのシフトでした。個人的には、ここから先は急に現実感が薄れた気がしてのめり込めなかったですね。いや、別にカニバリズム展開自体は好きなんですけど、その展開に持って行きたいなら、その前にもっと前振りを丁寧にやって欲しいんですよ。例えば、洞窟内で捕まえたネズミの肉でも構わず食べるとか、食料や水の分け前を減らすために1人殺して、殺したからには勿体無いから食べようとか、そういう食人に繋がるような、しかしマイルドな展開から入って、徐々にそれがエスカレートして食人に至る、そういう段階を踏んでやって欲しいのです。いくら極限状態でも、いきなり食人に至るのはちょっと飛躍しすぎかな、と思いました。まあ、この辺は個人的感覚も大きいでしょうが……。

 またそのあとの、食人に反対していた女がカメラを盗んで1人だけ助かろうとする展開や、それまではシチュエーションを利用した緊迫感を前面に押し出していたのに、終盤はカメラ向けたら人がいてビックリとか、死んでると思ってた人間が動き出してビックリとか、そういうPOVにありがちな露骨なビックリ描写へとシフトしてしまったのは非常に"やらかした"と思いました。前半の緊迫感のまま、前半の展開のまま行って欲しかったんですよ。それが、安易なビックリ描写に流れたのは非常に残念でした。



 というわけで総評ですが、前半は◎、後半は△な映画でした。前半は導入部分含め、洞窟内でやらかしそうなキャラ設定と言い、ほぼ完璧に近かったですが、後半の食人以降の流れは個人的に×。前半そのままの感じで行ってくれれば、総合Bは固かっただろう、と思うだけに残念です。

 またこの映画はその構成上、「洞窟内で迷子」というシチュエーションが自分に刺さるかどうかに評価の大半がかかっていると言っても過言ではありません。「自分別にそんなの刺さらんよ」という方は、見てもあんまり楽しめない可能性大なので、ご利用は計画的に。

 それでは、また次回!