フローズン
フローズン

 (高所恐怖症的には)いやーキツイっす

 さて今作ですが、アマプラで吹替版鑑賞しました。まずはAmazon先生からあらすじと、予告編をどうぞ。

【予告編】


【あらすじ】
日の暮れたスキー場で最後の滑りを楽しもうと、ダン、ジョー、パーカーの若者3人が乗り込んだリフトが、突然山上への途中で停止してしまう。
リフトの係員の勘違いで、運転をストップしたのだ。いくら大声で救助を求めても、大自然の真っただ中では誰にも悲鳴は届かない。
スキー場の営業は1週間後。ゲレンデの照明が消え、猛烈な吹雪にさらされたとき、携帯電話も食料も持たない3人は、自分たちが最悪の状況に陥ってしまったことを思い知らされる。
氷点下20度という血も凍りそうな極寒の暗闇の中、地上15メートルの空中に宙吊り状態で置き去りにされてしまったことを―。
スキー場を訪れた経験のある人ならば、誰もが一度は想像したことのある悪夢のようなワン・シチュエーション。
真冬の雪山のリフトに宙吊りにされる底なしの孤立感、若者たちの体力&気力を根こそぎ剥ぎ取る寒さと凍傷の恐ろしさ。
『SAW ソウ』シリーズのプロデューサーが仕掛ける、身も心も凍りつくような恐怖。
観る者に「もうスキー場には行けない…」と叫ばせる、究極の〈体感型シチュエーション・パニック・スリラー〉!!

ストーリー……B
キャラクター…C
設定……………B

総合評価………B
オススメ度……B

【良い点】
・心臓に悪い(褒め言葉)
・緩急のつけ方がうまい

【悪い点】
・ハマらなければとことんハマらない

 とにかく心臓に悪い映画です。真冬に高所に取り残される恐怖、そこからの落下の恐怖、下にうろつく狼などなど、もうとにかくいちいち心臓に悪い。「スキー場のリフトの上だけで90分も持つんか?」と心配でしたがその心配はご無用で、状況は常に変化するため終始飽きずに見られました。ただし、場所はずっとリフトの上固定なので、このシチュエーションにさして恐怖を感じない人はとことんハマらない可能性ありです。そこだけ注意!
 




【以下、ネタバレ注意!】





 今作ですが、閉鎖直前のスキー場のリフトの上に取り残され、そこから動けず助けも呼べず、寒さに凍えながら知恵を絞ってなんとか脱出しようとするもそんなもん出来るわけないだろ! なお話です。スキー場のリフトには緊急用のロープの装着を義務付けるように(恐怖)

 では、あらすじもほどほどに早速詳細な中身を見ていきましょう。まずは良い点からです。


 今作の良い点は、猛烈に心臓に悪い部分が多々あるということと、緩急のつけ方がスーパー破茶滅茶に上手いということです。

 まずは大まかな流れから。今作はスキー場に遊びに来たバカップル+男の3人グループが、なんやかんやあって真冬のリフト上で動けなくなる、というあらすじ通りのところから物語が始まります。簡単に言うと、ナイターで滑ろうとしたら天候悪化により閉鎖が早まったことに対してクレームつけて、半分無理矢理リフトには乗せてもらったものの、他の従業員たちはそんなこと知らずにもう誰も残ってないと思って電源落としてしまったためリフトが停止し、その上で座り往生を食らう、という流れ。まずこの導入部分に関する「普通には起こりえない状況がなぜ起きたか?」という原因の積み重ね描写については、多少無理はあるもののなかなか丁寧で好感が持てます。

 さて、リフト上に取り残された3人ですが、暫くは錯乱と言い争いが続きます。そしてなんやかんやあって、スキー場の営業再開は1週間後なので、このまま待っていても助けは来ないし、自分たちでなんとかしなければならない、という結論に至ります。そしてここからが、この映画の本領発揮でした。

 何がすごいって、もうね、マジ心臓に悪いんですよ。1番最初に出てきた案が、リフトから飛び降りて助けを求めに行くって案なんですけど、飛び降りですよ飛び降り。ぱっと見、その辺に生えてる木なんかより全然高い高度にも関わらずです。小型ビル並みの高度から1人飛び降りて、そのまま下山して助け求めに行くって言うんですよ。ぶっちゃけ自分は2階の窓から顔だして下の地面見てるだけでクラッと来そうなレベルの高所耐性ない雑魚なんで、もう飛び降りるよ系の流れ本当に苦手なんですよマジで。これがカイジの鉄骨渡りみたいに、高すぎて下見えないレベルだったり、俯瞰視点で人が落ちるだけの映像見せつけられる程度なら平気なんですが、地面はバッチリ見えるわ、高さが生々しいわでもう本当に心臓に悪いんだよ!(自分語り) しかも、もちろん実際に飛ぶまでの間に色々やり取りがあるわけですが、こういう生々しいやり取り込みの飛び降りなんで、もう本当に心臓に悪い。

 またその後も、飛び降りたはいいものの足の骨が折れてむき出しになってたりだとか、それで動けないところを狼に襲われて生きながら食われたりだとか、素手で鉄のバー掴んだまま寝ちゃったせいで、朝起きると手の皮が張り付いてベリベリめくれたりだとか、強風に揺られてリフトが傾いたりだとか、綱渡りして隣のリフトまで向かうの見せられて落ちないかハラハラさせられたりだとか、もういちいち描写が生々しくて痛々しい。個人的に「いやこれは無理い」ってポイントばっかり突いてくるせいで、本当に心臓が持たないと思いました。

 ちょっと話は逸れますが、例えばスプラッター映画みたいに映像的にグロい描写をこれでもかとぶち込んでくるタイプの映画は個人的には割と大丈夫なんですが、今作のように、直接的にはさほどグロい描写はないけれど、その事象が起こるまでの描写を丁寧丁寧丁寧にやって心理的に負担かけてくるタイプの描写にはもう本当に弱いので、今作の内容は個人的にブッ刺さりました。実際にグロ映像見させられるのは大丈夫でも、そこに至るまでの過程を頭に刷り込んで結果を意識させてくるタイプのやつは、実際にグロい瞬間が映ってなくてもダメなんです。映画版初代バイオ冒頭のエレベーター首パッツンとか本当もう無理無理の無理。
 というわけで今作の話に戻りますが、要するに私みたいなタイプかつ高所恐怖症の人間には今作の描写はクッソ刺さるよ! ということです。

 また、他の今作の素晴らしい点として、緩急のつけ方が絶妙にうまい、というのも挙げられます。普通に考えれば、リフトの上で過ごすだけの話で90分持たせろと言われたらゾッとするところですし、私も視聴前は「発想はいいけど、絶対中盤とかでやることなくなって中だるみするんじゃねーの?」と思ってたんですが、今作は最初から最後までまるで飽きることなく視聴できました。その大きな要因としては、場所はずっとリフト上固定でも、生き残るために今自分たちが出来ることを考え、それを実行にうつす、という流れがきちんとあり、状況が常に動いているからだと考えられます。例えば先ほど例に挙げた飛び降りもそうですし、通りかかった雪上車に交信を試みたり、綱を渡って柱まで移動しようとしたりなどです。リフト上ということで出来ることも限られており、こちらの予想を裏切るようなあっと驚く作戦はないものの、ただ喚き散らすだけでなく、とりあえずやれそうなことはちゃんとやってくれる姿勢は飽きにくくて実にいいと思います。本当、これすらしない映画多いですからね。

 ただしこの映画、常に次の手次の手を実行している訳ではありません。言い争いや現実逃避、昔話など、そういった展開も結構多いです。しかし今作の上手いところは、無駄にダラダラダラダラとそういった話ばかりしてないで、ちゃんと緊迫感ある流れを途切れさせず、合間合間にその手の展開を持ってくるところです。これが上手い。なんとか脱出しようともがく場面ばかりでは出来ることが限られすぎていて多分時間が持たないし、かと言って言い争いばかりが続くと見ている側的には面白くありません。今作はその「緊迫感ある展開とそれ以外の展開」の流れを交互に織り交ぜ、トラブルやアクシデントの類も上手く盛り込んできて、なかなか絶妙なバランスに仕上げてきています。言い換えれば、緩急のつけ方がかなり上手いと感じました。


 とまあここまで絶賛ですが、当然触れなければならない注意すべき点もあります。それは、内容が内容なので刺さらない人には多分全然刺さらないということです。

 もはやこれはシチュエーションスリラー映画の宿命と言っても過言ではないんですが、こういう状況設定一本勝負な映画は、良くも悪くも最初から最後まで基本その状況が変わることはありませんから、その状況自体にさして共感や恐怖を感じなかったり、臨場感を感じられずに冷めた目線で見始めてしまった場合、もう最初から最後まで丸々全然楽しめなかった、という事態を引き起こしがちです。

 これが例えば初代SAWのように、どうしてこの状況に陥ってしまったのか、というサスペンス的な楽しみ方も含まれていれば話は別ですが、今作のように「リフトの上から動けない!」という絶望的状況に対する臨場感を第一に味わうような映画に対しては、その状況や臨場感自体にあんまり食指が動かなかった場合、もう最初から最後まで冷めた目線でしか見れなくて、こうなったのは半分自分たちの我儘のせいなのにどうでもいい言い争いしてるとことかばかりが目について、いいから早くリフト降りて次の展開行けや、という叶わぬ願いが芽生え、結果「結局ただの自業自得じゃん、何が面白かったんやこの映画」という事態を引き起こす危険性が大いにあります

 もちろん、そういう考えになってしまうことが悪いとかそういうことを言うつもりは一切ないのですが、映画の特性上そういうことが起きやすい内容になっているので、もしそうなってしまったら諦めてください、としか言えぬのです。そういう意味では、評価が分かれやすい映画と言えるかもしれません。でもまあ逆に言うと、途中で「あんま面白くないな」とあなたが思ったとしたら、最後まで見ずにそのまま視聴やめちゃっても特に損とかはしないので、切りやすくていいのかも……。


 という訳で総評ですが、ぶっちゃけ「個人的にめっちゃ好き」、もうこれに尽きるんじゃないでしょうか。もうこの映画が楽しめるかどうかは、この映画が取り扱うシチュエーションの臨場感が自分に刺さるかどうかなので、自分みたいに刺さる人にはブッ刺さるけど、刺さらなかったらごめんなさい、もうそうとしか言えない。

 幸い、シチュエーションスリラー的にはかなり出来が良く、なおかつ結構よくまとまっている内容だと思うので、一回見てみよう? ダメだったら途中で見るの止めちゃえばいいんだからさ! 案外、思わぬ掘り出し物になるかもしれませんよ!
 それでは、また次回!