デスフロア
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エレベーター × ゾンビ のコンセプトに惹かれて見ました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【あらすじ】

クラウディオはクライアントとの重要なミーティング直前に、オフィスのエレベーターに閉じ込められてしまう。
閉所恐怖症の彼は一刻も早く脱出しようと試みるが、援助が来る気配もない。
わずかに開いたエレベーターのドアの隙間から外の様子は窺っていると、どこからともなく女の悲鳴が・・・。
なんと、彼が閉じ込められている間にエレベーターの外では伝染性の高い謎の致死ウィルスが蔓延し、人々を凶暴なゾンビへと変えていたのだった。

【予告編】


ストーリー………C
ゾンビの質………B
キャラクター……C
設定………………C

総合評価…………C+
おススメ度………C


【良い点】
・発想◎
・ゾンビの完成度が高い

【悪い点】
・展開がワンパターン気味
・せっかくエレベーター内だけに状況限定したのにやることこれかよ? ってなる


 ゾンビ蔓延る世界で、エレベーター内に閉じ込められた男がもがく様を楽しむ映画です。ほぼエレベーターから見える空間だけで話が完結するという構成になっており、その発想自体は実にグッド。ただ、肝心の中身が発想に追いついてこず、悪くはなかったけどよくはなかったかな、というあたりの評価に落ち着いてしまっている映画でした。







【以下、ネタバレ注意!】








 ワンシチュエーション系のゾンビ映画すこなんだ。なお、当たり外れは激しい模様。
 さて今作ですが、エレベーターに閉じ込められている間になにやら外界ではゾンビパニックが発生しているみたいで、ドアが半開きになったエレベーター内で主役の男が右往左往する、という内容の映画です。発想自体はかなり良かったんですけどね……。

 では早速、良い点と悪い点を見ていきましょう。今作の良い点は、目の付け所自体は非常に良いということと、ゾンビの完成度が高いということです。

 昨今ワンシチュエーション系映画は(予算的な都合があってか)多く制作されていますが、この映画を見るとやはりまだまだ良い意味で未開拓の部分が多く残されている分野なのだと思わせられます。立て篭り系のゾンビ映画自体はこれまでも数多く制作されていますが、ほぼ全編をエレベーターのみでやるという発想はかなり良かったと思います。クッソ狭い金属の箱の中という閉鎖空間のほぼ最上位系、かつ半開きになった扉の間から常に外の状況が伺える上、ゾンビが攻めてこれないけれども腕くらいは突っ込んで来るスペースが常に側にあるという恐怖。

 おまけに、移動しようにも自分は外に出られないので、ずっとゾンビの呻き声や視線を感じながら耐えなければいけないという精神的なプレッシャーも加わり、ワンシチュエーション系のゾンビ映画としてはなかなか素晴らしい舞台設定だと思いました。ここに目をつけて、思い切って全編エレベーター内で話を完結させた手腕は素直に見事だと思います。

 また、序盤に挿入された日常パートを除けば、エレベーターとそこから見える範囲の廊下さえ用意できれば映画自体は撮れてしまうので、舞台設定に余計な予算を使う必要がなく、その分他の部分にこだわることが出来るというのもこの発想の良かったところです。そのおかげか、今作のゾンビの出来栄えはこれがまたなかなかにハイクオリティ。ゾンビの出来栄えはどんなシチュエーションのゾンビ映画でも視聴意欲に直結してくる超重要ポイントですので、ここにちゃんと拘ってくれたのはこれまた素直に良かったと思いました。


 では、良い点は以上でしたので、続いては悪い点を。今作の悪い点は、せっかくの良い発想に内容が着いてこられなかった点です。

 エレベーター内だけで完結するゾンビ映画。この発想自体は先程から褒めている通り実に素晴らしいと思うのですが、このナイスな設定に肝心の内容が着いて来れていなかったのは残念ながら減点ポイント。何がいけないって、1番アレだったのはワンパターンな展開です。

 ちょっとここからは完全な素人目線の持論なんで聞き流していただくくらいでちょうどいいのですが、ゾンビに限らず、こういうワンシチュエーション系の映画って、舞台設定が一箇所で まうため、どうしたって普通に作ると中盤くらいで中だ。その理由は簡単で、ステージを移動することが出来ないからです。

 ステージや舞台を変える、今の場所から移動するというのは、話を動かさなくてもなんとなく状況が動いているよう視聴者に錯覚させる、実にお手頃かつ簡単で単純な方法です。経験ありませんか、映画とか見ていて、なんとなく展開が動かなくて会話シーンも多くなってきて、見るのがだるーくなってきた辺りで、主人公たちがスッと次の舞台へと歩を進めただけで「おっ、やっと動いた」となって視聴意欲がちょっと戻って若干前のめりになるやつ。ゾンビ映画で言えば、探索でも行くか、ってなって立て篭ってる廃屋から抜け出してスーパーとか行っちゃうやつです。何となく、「次の場所へ行く」っていうだけでちょっとワクワクしません? 結局そのスーパーに行って、やってることはまたゾンビに襲われて逃げながら戦って帰ってくるっていうだけのシーンでも、あるのとないのでは視聴意欲がダンチだったりします。今の状況を動かしたいなら、話を動かすより場所を移してしまう方が楽なんです。

 ところがどっこい、ワンシチュ系映画は基本的にこの手法が使えません。すると、最初はこのシチュ自体にハマっていたけど、絵面がまあ終始ずっと一緒なんで、だんだん新鮮味や面白味がなくなってくるんですね。これが普通の映画なら、例えばゾンビと戦うってだけの同じ内容を展開し続ける場合でも、街中、スーパー、学校、病院などステージを移していくだけで何となく見れる感じになっちゃうんですけど、ワンシチュ系映画ではこれが出来ない。例えば今作においてゾンビと戦うってだけだと、ずっと主人公はエレベーター内に引きこもりながらこいつらが過ぎ去るのを待ってるだけ、または武器を変えて応戦するくらいのことしか出来ないので、基本的に戦闘シーンの絵面がずっと変わらないんですよ。こうなってくると、まあ3回目の戦闘あたりで、途端に「見飽きた」という事態になりがちです。ワンシチュ系映画はこれが難しい。普通の映画のノリで話を動かしていると、ステージ移動が出来ない分絵面が固定になってしまうので、どうしたって見ている側は途中で飽きます

 ではどうするかと言うと、場所を移して誤魔化せないのなら話を動かしていくしかないんですよ。この手の話題になると、私はどうしても「リミット」という、最初から最後まで舞台が棺桶の中だけで話が完結した有名映画を話題にあげたくなってしまうのですが、まさにあれがそのお手本です。例えば、主人公が電話で外部の人と連絡を取り合って、自分の生存率を高めるために自分から動いたりだとか、外部の情報を少しづつ仕入れて状況把握に努めるだとか、もう本当に何でもいいんですけど「主人公が自分から状況を打開しようと頑張っている感」や「話が少しづつでも前に進んでいる感」がどうしても欲しいんですよ。

 何でこんな話をしたかっていうと、それはもう今作がこれが出来ていないからです。基本的に主人公は受け身姿勢が強く、電話は使いこそしますが自分の生存率を高めるため、この状況を打開するために有効活用できていたかと言うと正直疑問。かつ、基本的にエレベーター前を通りかかった部下に助けを求める展開が数回続くんですが、これがもう基本的にワンパターンな場面の連続で、絵面すら変わらないせいでとにかく中盤飽きてくるんです。

 また、終盤はこれまた偶然前を通りかかった警官に助けを求め、無線で彼を誘導しながら壊れたエレベーターを直してもらおうとするんですが、この展開も結局は偶然通りかかった警官がとにかくめっちゃいい人で、善意マックスで主人公を助けてくれているだけですからね。話としては王道かつありがちな展開な分、前半のワンパターン展開の連続よりは私は好きでしたが、せっかく特異な設定にしたのにやることはこれかぁ、という気持ちは拭えませんでした。しかも、別に天板持ち上げれば普通に脱出できた説まであるんでもう……。


 というわけで総評ですが、まあ設定自体は良かったんですけど、「シチュエーションが限られている分、脚本一本勝負!」という内容には昇華できていなかった映画でした。まあ確かにエレベーター内だけっていう条件限定でやるのはかなりキツいと思いますが、もう少しやりようはあったんじゃないかと思います。

 まあ、ゾンビの出来自体は結構良かったので、その点は非常に満足ですし、やはりエレベーターの隙間から様子を伺ってビクビクしながら精神をすり減らしていく過程なんかは見ていてなかなか興味深かったので、文句を言いつつも良いところもしっかりとある映画です。興味がある方はいかがでしょうか?