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(画像:Amazon商品ページより引用)

 今作ですが、シンガポール産のゾンビコメディ映画です。予告編とかだと、「シンガポール初のゾンビ映画!」みたいに言われてるんですけど……ほんとぉ?(無垢)

国籍…… シンガポール
制作…… 2018
販売……アクセスエー

 それでは、まずは今作のあらすじ&予告編からどうぞ。
【あらすじ】
「予備役兵士として人里離れた陸軍基地に配属されたカユ。やる気ゼロの彼は、天敵の鬼上官・リー軍曹の目を盗み、なんとかして訓練や任務をサボろうとする怠惰な毎日を送っていた。ある日、仮病を使うことを思いついたカユは、親友とともに向かった救護室でリー軍曹と鉢合わせ。そこへ瀕死の兵士が運び込まれてくるのだが、実は謎のウイルスに感染したゾンビであった。またたくまに阿鼻叫喚に包まれる救護室。同僚が次々とゾンビ化していくなかで、カユはリー軍曹と協力し、仲間を連れて脱出を図るという前代未聞のミッションを遂行しなければならなくなる。未熟なカユと頭の固いリー、互いに反目しあう二人は、最強ゾンビ兵士の包囲網をくぐり抜け、生還することができるのか。退路なしの死闘が始まる!」
Amazon商品ページより引用)

【予告編】
ストーリー…… C
ゾンビの質……B
キャラクター… B
設  定……… C

総  合……… B−


【良い点】
・ゾンビのクオリティが高い
・キャラの成長がちゃんと描けている

【悪い点】

・コメディとシリアスの配分が微妙で若干どっちつかずな印象
・ほんのり展開がクドい

 軍隊もののゾンビ映画です。一応メインキャラは大体軍人ですが、パッケージや予告にもある通り雰囲気は緩め。「抱腹絶倒!」とか書いてありますけどギャグ全振りかと言うとそんなことはなく、コメディとシリアス半々くらいの割合、気持ち後半シリアス強めな映画でした。ゾンビの出来もよくストーリーもなかなかまとまっているので、割とお勧め出来る映画です。




【以下、ネタバレ注意!】








 もし本当にシンガポールで初めてのゾンビ映画なのだとしたら、このクオリティはなかなかすごいと思います。試しに「シンガポール ゾンビ」で調べても何故かにゃんこ大戦争の記事しか出てこないので、本当かもしれない。ほんとぉ?(純真)
 というわけで、早速詳細な点を見てゆきましょう。まずは良い点から。


 今作の良い点は、ゾンビの出来がなかなか良いということと、キャラクター描写が結構しっかりしていることです。

 一口にゾンビのクオリティって言っても、もう本当に作品によって良し悪しはまちまちなんですけど、相対的に評価すれば今作のゾンビの出来栄えは十分なものとなっていました。具体的には、新感染に見られるような、動きがそれなりに素早くてカクカクと激しく痙攣するような動きが特徴のゾンビとなっています。ただ、半分コメディ要素も入っているため所々で露骨に手加減してくれますが、まあそれはご愛嬌。

 メイクの出来も総じて良く、シリアスなシーンではしっかりと怖さを見せつけてくれるなど、やるときはやってくれる出来るやつです。初遭遇となる診療所内での暴れっぷりはかなり出来が良く、普通に真面目なゾンビ映画にもそのまま出せるようなクオリティでした。

 また今作、ゾンビの出来だけにとどまらず、キャラクターの魅力を掘り下げる描写にも力を入れているのも特徴。今作のメインキャラは、軍人だがやる気がゼロの主人公、対照的に鬼教官みがある軍曹、そして民間人のヒロインの3人。このチグハグな3人で協力して脱出することになるのですが、この非常時だというのに主人公と軍曹は価値観の違いからよく衝突します。しかも、主人公は何か選択を迫られるような状況になるとすぐにフリーズして動けなくなる、考える力が足りないのかいちいち指示をされないと動けないなど、軍人にあるまじき頼りなさ。

 しかし主人公は、友人の死、そしてヒロインの母親が自分を庇って亡くなったのをきっかけに、今までの頼りない自分と決別する決意を固め、軍曹と協力してこの窮地を乗り切るために奔走するようになります。また、彼の成長を受けて上官である軍曹も考えを改め、彼とちゃんとした信頼関係を築くに至るなど、キャラ同士の掛け合いでなかなか盛り上がる展開も見せてくれるのでした。

 この、頼りない主人公が非常時の中で成長するという、まあ言ってしまえばベタな描写ですけど、これがあるのとないのでは話の盛り上がりがダンチなんだよなぁ。その辺、しっかり要点は抑えられている印象です。


 と、良い点はちゃんと満足感のゆくポイントばかりなんですけど、今作には若干の残念ポイントも。それは展開のクドさと、コメディとシリアスのバランスが悪い事です。

 今作、ストーリーの流れ自体は結構シンプルで、軍事基地内で突如ゾンビパンデミックが発生、なんとか生き残った主人公たちが基地からの脱出を目指すというもの。ここに、コメディ要素やらシリアス要素やらを肉付けしてゆくのですが、このバランス配分についてはちょっと微妙。大体コメディ:シリアスが半々、後半はシリアスが強めかな、という配分になっているのですが、もう少しどっちかに寄っても良かったのではないかと思います。

 個人的にはコメディ展開とシリアス展開が共存する映画の場合、どちらを主軸に置いておくかはしっかり決めておいて欲しいんですよね。でないと、コメディな展開で来てたのにいきなりシリアスが来てもイマイチ入り込めないというか。今作はその辺、どちらを主軸にしたいのか、と言う部分は曖昧なところがあり、国歌でゾンビの動きが止まるとか虫除けでゾンビに襲われなくなるとか、設定は所々コメディなんですけど、ストーリーラインは結構シリアスなので、個人的には若干どっちつかずな印象も受けます。

 また、特にシリアスシーンの展開が少し間延びしている、もっと言うとちょっとクドい部分も見られます。母親がゾンビになるところとか、ラストの死闘シーンとか。

 まあ、この2点については好みの問題もだいぶあると思うので、気にならない方は全く気にならないと思います。個人的には気になったので、記載はしておきますね。

 と言うわけで総評ですが、基本的になかなかクオリティの高いゾンビ映画です。コメディ要素もあるとは言え、特にキャラの成長描写やゾンビのクオリティはシリアス系のゾンビ映画に出しても恥ずかしくない出来栄えでした。気になる部分も個人的にはありましたが、大丈夫な方は全然大丈夫な部分ではあると思うので、人によってはお気に入りの映画入りするポテンシャルは十分秘めていると思います。

 それでは、今回は以上です。また次回。